フランス軍といえばM47カーゴパンツが非常に人気ですが、それと同じくらいもしくはM47を凌ぐほどの人気を集めるパンツをご存知ですか?
M52チノトラウザー、いわゆるM52チノと呼ばれるチノトラウザーです。
この記事では、ここ数年M47カーゴパンツに負けず劣らずの人気を集め、古着市場も著しく高騰を続けるM52チノを解説していきます。
実際の着用レビューもありますので、是非ご覧くださいませ。
M52チノトラウザーとは?
フランス軍のM52チノはその名の通り1952年からフランス軍で採用が始まった野戦用のチノパンです。
という方も多いかと思います。
もちろんアメリカ軍のM41カーキやM45カーキは間違いなく名作なのですが、フランス軍M52チノにはアメリカ軍のチノパンにはない、フランスらしさが随所に散りばめられた非常に魅力的なチノパンなのです。
M52チノのディティール
全体シルエット
レングスは恐らく裾直しされており、オリジナルのレングスではありません。
また洗濯・乾燥を何度かしており、縮みも発生している個体になります。
M52チノのシルエットの大きな特徴は、
- 太めのシルエット
- ゆったりしたウェスト周り
- 裾へのテーパード
M52チノのシルエットはサイズにもよりますが、第一印象はかなり太いです。
特にウェストからお尻にかけてはかなりゆったり目の作りになっているので、穿きごごちもとても楽ちんです。
そして裾にかけてゆるやかにテーパードが効いているため、「太いのに野暮ったくない」というM52チノ独特の美しいシルエットが生み出されているんです。
シルエットに丸みを感じれるかと思いますが、これが着用時の上品な雰囲気を出してくれます。
ちなみに先述のアメリカ軍のM41・M45カーキを始めとするヴィンテージチノは裾に向けてストンと落ちるドカンストレートのシルエットで、男らしい無骨なシルエットとなります。
タック
そしてM52チノのシルエットを語る上で外せないのが「タック」の存在です。
このタックがあることから、腰回りのゆったりさから裾へのテーパードをさらに美しく見せることが可能となっているんです。
自分が所有しているものは1タックのものですが、2タックの個体もあります。
このタックにより、M52チノは軍パンというよりもはやスラックスのような美しいシルエットをもたらしてくれるんです。
フロント
フロントはボタンフライとなっています。
裏側の縫製もとても丁寧な作りで惚れ惚れしてしまいます。
バックポケット
バックポケットはフラップがついており、M52チノの中でもいわゆる後期と呼ばれる個体になります。
ちなみに前期はフラップのつかない両玉縁ポケットとなります。
サイドポケット
サイドポケットはサイドシームに沿った形状となります。
サイドステッチはダブルステッチとなっており、独特の経年変化が楽しめます。
サイズ表記
自分が所有するサイズは「35」になります。
これはフランス軍特有のサイズ表記で、W3・L5を表しており日本人男性にはかなり大きいサイズ感です。
M47カーゴパンツ同様ですが、M52チノも「21」や「22」などの小さいサイズはなかなか見つかりにくく、価格も非常に高騰しています。
素材
M52チノは通常のチノパンで使用されているチノクロスではなく、より丈夫なウェストポイント(通称ウェポン)と呼ばれる素材が使われています。
このウェポン素材はチノクロスと比べてハリが強く、丈夫な素材で、光沢性にも優れるのが特徴です。
写真をご覧頂くとその光沢感が伝わるかと思います。
さらに手触りもしっかりとした厚みのある触り心地で、こういった素材からも上質な雰囲気を感じることができます。
ステンシル
こちらのステンシルはフランス軍実物の証であり、古いヴィンテージもののため消えて見えなくなっている個体もありますが、ヴィンテージやミリタリーが好きな人にはたまらないディティールのひとつだったりします。
着用画
tops : カートコバーンTシャツ
pants : フランス軍 M52 チノトラウザー
shoes : ニューバランス M996
172cm56kg痩せ型の自分がサイズ35を実際に着用してみました。
M52チノ特有のワイドなシルエットが伝わるかと思います。
M52チノでよく言われるのが、「ジャストで穿かないとテーパードの綺麗なシルエットが出ない」と言われます。
自分の所有するM52チノはかなり大きめなのですが、なんとなくその意味が伝わるでしょうか?
とは言え、「ワイドパンツなのに野暮ったくない」というそのきれいなシルエット感は十分に伝わるかと思います。
M52はさまざまなブランドからレプリカも発売されており、「オリジナルに拘らない・試しに穿いてみたい」という方はコスト的にも落ち着いて手に入るレプリカを試してみるのもいいでしょう。
まとめ
フランスの上品さとミリタリーの無骨さが同居するヴィンテージチノの名作と言われるM52チノを紹介させて頂きました。
近年の高騰が非常に著しいアイテムでもありますが、今から70年以上も前に作られたものと考えるとその個体数は年々現象の一途を辿る一方です。
気になる方は是非早めにチェックしてみてくださいね。
まるお