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ハービー・ハンコック / スピーク・ライク・ア・チャイルド【Herbie Hancock / Speak Like A Child】LPレビュー

Herbie Hancock / Speak Like A Child

ハービー・ハンコックの代表作としても挙げられるこのアルバムは、そのジャケットの美しさでも人気の高い1枚です。

有名なレーベルで数多くの名盤を送り出したブルーノートから発表されたもので、ブルーノート史上もっともロマンティックな1枚と呼ばれる作品です。

 

このアルバムのでもっとも特筆すべきなのがその楽器編成です。

ピアノトリオ+3管楽器というのはオーソドックスなのですが、その3楽器が実に変わっていて、フリューゲルホーン、バス・トロンボーン、、アルト・フルートという中低音域主体楽器編成となっており、良く言えば落ち着いた、悪く言えばやや地味な楽器編成でもあります。

しかしその中低音域の3管楽器が奏でるなんとも温かみのある音は聴けば聴くほどクセになるような中毒性を含んでいます。

 

ピアニストとしてのハービーの魅力はもちろんですが、それ以上にコンポーザーとしてのバンドプロデュース力を存分に発揮した1枚だと思います。

ノリノリのスウィンギーなジャズでもなければ、しっとりピアノを聴かせる耽美的なジャズでもないい、何とも不思議な魅力に溢れたとてもおしゃれな音が詰まった、天才ハービーの傑作を紹介していきます。

個人的な意見ですが、ジャズアルバムにおいて「おしゃれさ」でこのアルバムの右に出るものはありません。

1. Riot

アルバムジャケットの雰囲気とは裏腹にアップテンポなナンバーでアルバムは幕を開けます。

マイルス・デイビス率いるマイルスバンドでも演奏されたこのナンバー、ハービー自身マイルスグループに参加して頭角を表したピアニストであり、そのオマージュも感じられます。

マイルスバンドのものよりもソフトで優しくカドが取れたような印象を受けるのは、やはり独自の3管楽器編成によるものでしょうか。

 

2. Speak Like A Child

一聴するとヴォサノヴァ調の雰囲気ですが、ハービーのピアノのメロディが何とも美しい、このアルバムのハイライト的1曲です。

ゆるい雰囲気に甘くメロウなメロディが、ミスマッチなようで非常に心地良いんです。

難しい説明は不要の、とにかく聴いて欲しい名曲です。

個人的にもフェイバリットな1曲。

 

3. First Trip

ハービーの軽快かつテクニカルなピアノが堪能できるナンバーです。

この曲には3管は参加しておらず、いわゆるピアノトリオとしてのナンバーです。

非常にスウィンギーなナンバーで聴いていてとても気持ちが良いです。

A面最後のこちらもとてもおすすめの1曲です。

 

 

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4. Toys

3管のハーモニーに絡み合うハービーのピアノが印象的なB面のオープニングナンバー。

落ち着いた雰囲気でありながらどこか不思議な浮遊感を抱かせるこのナンバーも、ハービーのピアノによっておしゃれさが存分に醸し出された1曲です。

 

5. Goodbye To Childhood

タイトル通り、子供から大人になるにつれて抱く不安を感じさせるようなオープニングです。

終始緊張感にあふれた演奏なのですが、それでもハービーの奏でるピアノの音色はそんな不安を抱き締めてくれるかのような抱擁感にあふれた優しい雰囲気があります。

 

6. The Sorcerer

こちらもマイルスバンドでも演奏されたナンバーです。

マイルスの壮厳なトランペットをハービーのピアノが軽快になぞる、あたしい魅力を持った楽曲に仕上がっています。

こちらも3管が参加しないピアノトリオの演奏となっております。

BGMとして流すも良し、じっくり味わい深く聴くのも良しの良曲です。

 

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まとめ

「処女航海」などの名盤を数多く世に送り出してきたハービーですが、このアルバムもまた時代を超えて聴かれ続ける名盤であることは間違いありません。

最後に、このアルバムのジャケットでキスをするふたりは若き日のハービーとその夫人なんです。

どこまでもロマンティックなこのアルバム、自分も大好きな作品のひとつです。

 

まるお