Thelonious Monk / Thelonious Himself
ジャズピアニストにおいて、彼以上に「個性的」という言葉が似合う人物はいないでしょう。
モンクのピアノプレイは初めて聴く人にとっては、たどたどしく聴こえたり、不協和音のように聴こえたりとあまり良い印象を持たれないかもしれません。
もしかしたら一聴して「自分には合わない」という人もいるでしょう。
しかし、そのモンクのピアノは聴けば聴くほど、その音の裏に隠れた深い味わいを感じることができます。
決してジャズ初心者にはおすすめしませんが、この記事ではモンクのソロピアノアルバムの中でも最高傑作との呼び声高い「セロニアス・ヒムセルフ」を紹介していきます。
1. April in Paris
有名なスタンダードナンバーから始まるこのアルバム、のっけからまさに名演。
不協和音のような音の並びに隠れる美しい旋律を感じることができたら、あなたも正真正銘のモンク信者です。
自分も初めて聴いた時は「何だこれ?」と理解不能だったのですが、聴き込むうちにある日突然何かが目覚めて、ひどくクセになっていきました。
予測できない次の音、静寂の向こうに聴こえる沈黙というなの間、時折奏でられる美しいメロディー、天才の名にふさわしい歴史に残る名曲・名演です。
2. Ghost of a Chance
スタンダードナンバーが続きます。
優しいメロディーを絶妙な「間」で奏でられるこれもまた名演です。
この「間」があることで、モンクだけの世界観を作り出していることは言うまでもありません。
3. Functional
音を確かめるかのように叩かれる鍵盤が印象的なナンバーです。
全体を通して割とキャッチーなメロディーを聴かせてくれる1曲になっています。
モンクの楽曲は中毒性が高く、ハマると抜け出せない魅力を持っています。
4. I’m Getting Sentimental Over You
タイトル通り、どこかセンチな気分になる切ないメロディーが印象的な美しいナンバーです。
耽美的な美しさとはまたどこか違う、淡く儚い消えてしまいそうな脆さの中にある美しさを感じれる楽曲でA面が終わりを迎えます。
5. I Should Care
一聴してその音数の少なさに驚く1曲です。
時に激しく、時に優しく奏でられるモンクのピアノの音色はまさに孤高という言葉がぴったりです。
6. ‘Round Midnight
このアルバムにおける最大のハイライトがこのナンバー。
モンクで最も有名な曲でもあり、あのマイルスデイビスも演奏したこの超名曲をモンクがピアノだけで挑みます。
是非さまざまなこの曲と聴き比べてみてください。
もう最高のひと言しか出てきません、素晴らしい名演です。
7. Over You
優しいメロディーが印象的なナンバー。
モンク特有の「間」と「静寂」とメロディーのバランス感がとても心地よい最後のピアノソロナンバーになります。
え?最後?もう1曲あるよ?
はい、お待たせしました。
このアルバムのトリには「あの人」がやって来ます。
8. Monk’s Mood
モンクの儚げなソロが終わると、なんとジョン・コルトレーンのサックスが聴けてしまいます!
中盤からサックスとベースが加わったトリオ演奏となります。
モンクのピアノにコルトレーンの哀愁あるサックスが相性抜群なんです。
コルトレーンのバラードって何でこんなに艶めかしいんでしょう。
これもこのアルバムにおけるマストなナンバーとして挙げさせて頂きます。
まとめ
初めてジャズを聴くという方には決しておすすめしませんが、ある程度ジャズを聴いてきたなら避けては通れないのがモンクのソロピアノ作品です。
これほど好き嫌いが分かれる名盤と呼ばれる1枚も珍しいと思います。
しかし、一度ハマれば抜けれないくらいその沼は深いです。
聴かず嫌いで避けていた方も、これを機会に是非もう一度針を落としてみてはいかがでしょうか?
まるお